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英検1級受験記録③ 問題レビュー

2022年7月27日

https://www.eiken.or.jp/eiken/exam/grade_1/solutions.html 英検公式の過去問掲載ページ

私が受けたのは2022年度 第1回。

語彙問題
(1)いきなりわからない。政治家が金持ちへの(?)で糾弾されるという文なので、(?)には優遇とか贔屓のような語が入るのだろう。moanが「うめき声」なので、3.bemoaning(後日調べたところ、悲しむ、嘆くといった意味)は多分違う。あとの3つの選択肢は予想もつかない。脳内でそれぞれ英文に当てはめて読んでみて、一番気持ち良く読めた1.panderingを選択した。そしたらまぐれ正解だった。媚びる、というような意味らしい。

(2)全く分からない。(1)と同じく音の雰囲気で3.を選んだが、こちらはしっかり不正解。

(3)同上。適当に選んだら普通に外れた。

(4) ある作家はキャリアの(?)で、一年に2本ベストセラーを書いたという文章。選択肢の単語は2.のpayoffが多分違うというのは分かるが、あとは知らない単語だ・・・と思いきや、3.zenithを見て閃いた。ゼニットだ。2019年7月、人類初の月面着陸から50年の月、知人と男二人で石川県羽咋市、コスモアイル羽咋に行った。そこに「ボストーク宇宙船」として展示されているカプセルは、実はソ連の同型の偵察衛星「ゼニット」のものだと知った。また、幻のソ連版スペースシャトル「ブラン」を打ち上げるエネルギアロケットの補助ブースターだけが転用された打ち上げロケットも、ゼニットと呼ばれる。このゼニットはロシア語で、天文学用語の「天頂」という意味だ。ロシア語もある程度英語と語源を共有しているので、天文学用語が似ていても不思議ではない。キャリアのてっぺんという意味だろうと思い、3.zenithを選択した。無事当たっていた。

(5)わからん。職場が過酷だというような文脈なので、1.グルーエリング、2.プレコーシャス、3.コンサーテッド、4.カーソリー の中で一番きつそうな1.グルーエリングにした。当たった。

(6)むりむり。

(7)3.astronomical 天文学的な と4.hilarious 爆笑できるような は文脈的におかしい。また1.dogmatic も、dogmaが「教義」なので合わないと思い、唯一知らない2.bafflingにした。しかしdogmaticには、独善的という意味がありこれが正解だった。ちくせう。なおbafflingは信じがたいといった意味だった。

(8)わかりません。

(9)miseryミザリー・惨めなにco-をつけてcommiserateにすれば一緒に悲しむ、同情するみたいになるのではないかと思ったら合っていたようだ。

(10)1.phantom 幽霊、模擬だけは絶対に違う。後の三択から語感がしっくりくる3.extenuatingにしたら当たった。

(11)ポジティブな文脈なので2.graveだけは無いと思った。あとの3つは全く意味が分からないから雰囲気で3.quaintにしたらなんか正解だった。

(12)この問題に至っては3択にすら絞れていない。ネガティブな文脈なのでdis付けとけと思って2.にしたら当たった。

(13)非常に残念だった一問。2.bluffingはブラフ、3.ventingは漏らす、排出だから違うだろうと思い1.hatchingか4.chidingの二択となった。hatchに卵から孵すという意味があるのは知っていたが、それが転じて「計画する」になるになるとは思いつかなかった。そういえば計画を温めるとか言うよな。知らない単語に望みをかけて4.にしてしまったが、叱る、小言を言うというような意味だった。

(14)1.debris デブリはゴミ。宇宙ファンには常識だし、医学生的にもデブリドマンなど稀に使う。

(15)夫婦間の緊張状態をどうするか。なんとなく、ディフューザーみたいに緊張を霧散させる感じかなと思い2.defuseを選んだ。実際、散布する方のディフューザーはdiffuser。全く違う単語だ。defuseはde-fuse、ヒューズを抜くことから爆弾を解除するようなイメージの単語らしい。結果オーライで正解だった。

(16)ルールを破るという話なので、4.bind 縛るは無いだろう。あとの意味を知らない三つから、一番ルールを破ってそうな3.flout を選んだら正解だった。

(17)わからん。

(18)verifyが確認するという意味なのは、パソコンでディスクを作成するとき「ベリファイ中」のようなメッセージが出ることから知っていた。

(19)むり。

(20)1.eponymous エポニムとは、人名などを由来に名づけられた物のことだ。八木アンテナやギロチンが好例だろう。なので1.は回答には不適当。あとの3択からなんとなく4.にしたら当たっていた。

(21)だめ。

(22)S.T.A.L.K.E.R.というシューティングゲームの実況動画が好きでよく見ていた。このゲームにはギミックとして「ブレインスコーチャー」というものが登場し、これを食らうと脳が破壊されてゾンビになってしまう。なるほど、3.scooting overは引っ掻き回すというような意味で、ブレインスコーチャーは脳みそ引っ掻き回し機なんだ!と納得してしまった。これは大間違いで、後で調べたらブレインスコーチャーはBrain Scorcher、脳みそ焦がしだった。scoot over は席を詰めるという意味らしい。そして、2.poking around は直訳で「つつき回す」。どう考えてもこちらが正解だった。本番での間違ったひらめき、大変惜しい。

(23)急いで食事をたいらげたらしい。皿を舐めるようにきれいにする、みたいな感じで1.polished off かなと思った。正解だった。

(24)わからん!

(25)「ゴマをする」を英語で何というかと言う問題。単純に1.~3.の意味が分からないのと、パンにバターを塗る動作はなんとなくゴマすりと似てるし、おべっかってギトギトベタベタしていそうだ。ということで4.butter upにしたら正解だった。

 以上、雰囲気以外の何らかの根拠があって「コレだ!」と選択したのは10問(4、7、9、13、14、15、18、22、23、25)。2択になった問題は無く、ひとつだけ除外して3択になったのは5問(1、10、11、16、20)。残りの10問はひとつも落とせず4択だ(2、3、5、6、8、12、17、19、21、24)。

表にするとこうなる。

 1択に絞れる閃きがあっても、誤った閃きで3/10は失敗している。知識は助けてくれることの方が多いが、たまに邪魔もする。驚くべきは、3択に絞ったあと雰囲気で選んだ問題はすべて正解していることだ。偶然にしてはちょっと取れすぎな気もする。4択で2/10は、確率的な期待値が2.5点なので順当だ。この結果から、英検1級語彙問題は4つある選択肢のうち1つでも意味が分かれば雰囲気で割と行けるということになる(いけません)。

長文問題
・毒と薬、パラケルススの話
一年生の時に選択した医学史の授業でパラケルススの話は聞いていたし、ガス検知のため鉱山にカナリアが連れ込まれるというのはジョニー・デップの映画「ローン・レンジャー」で知った。27.は文の展開の問題だったが、26.と28.はもともと知っていた問なので迷わなかった。全問正解。

・人工衛星データで投資をする話
「ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち」という映画がある。投資は情報戦で、近年はコンピューターが相場を自動で解析し売買を行うため、0.001秒相場情報の到達が速いだけで他の投資ファンドに先んじ莫大な利益を上げることが出来る。そのために大金を投じて真っすぐな地下ケーブルを通そうとする男達の物語だ。職業投資家のハイエンドの世界はもはや一般人の考えとはスケールが違い、有利になる情報を得るためには文字通り何でもする。この知識がこの問いを解くのに役立った。全問正解。

・ポインセチアの話
ポインセチアという名前の花があることは知っていたが、この内容は知らなかったので普通に解いた。全問正解。

・アルバレズ仮説、恐竜絶滅
世界中の白亜紀末期の地層から地球上では珍しいイリジウムという元素が見つかったため、大型の小惑星が衝突し塵が世界中に散ったということが推測される。この小惑星衝突が恐竜を滅ぼしたのだ。恐竜にハマったことのある子にとっては常識である。だから35.は本文を読まなくてもわかる。選択肢の一つは正解ではないが事実なので引っかけっぽいが。また、衝突が確実視された後も他の説にこだわっている学者がいることも知っていたので、その後もすらすら読めた。全問正解。

・アダムスミスと国富論
世界史も倫理政経も取っていないので、これには手こずった。普通に解くしかなく、時間も迫っており39.を一問ミスってしまった。

リスニング 印象に残っているところだけ

Part 2
(B)ゴースト・アーミーの話。第二次大戦、ノルマンディー上陸作戦を成功させるため、連合軍はナチスドイツを騙すことにした。上陸する場所をノルマンディーではなくパ・ド・カレーだと思わせ、戦力を別の場所に集中させるのだ。この話自体を、私はパンジャンドラムのエピソードを通じて知った。あの伝説の英国製おバカ兵器は、実はおバカであることこそが目的で、パ・ド・カレー海岸にナチスが築いたコンクリート製の壁を壊す方法を模索していると「演出」するためのものだったという説がある。派手でバカであるほど必死さが伝わり、パ・ド・カレー上陸説は現実味を増す。パンジャンドラムの存在はニコニコ動画、たらちゃん氏のP1グランプリシリーズで知った。パンジャンドラム欺瞞作戦説は「奇書の人」こと三崎律日さんの「偉大なるパンジャンドラム」動画で学んだ。更に英検1級を受験する前日、私はコッポラ監督の「パットン大戦車軍団」を見ていた。映画の中でパットン将軍は言動に問題があり、上陸作戦そのものからは外されてニセ軍隊の指揮官としての地位をあてがわれ、パ・ド・カレー上陸説に真実味を持たせる名義貸しのような状態になっていた。この話が、そのまま出題された。なんと幸運なことか。「パットン大戦車軍団」のDVDを購入したのも、ニコニコ動画でNostalgia Critic というレビュアーのオススメ映画紹介を観たからだ。CSEスコアを計算すると、私はリスニングをあと二問間違えば落ちていた。このパート2. 、B問題を2問とも取れたのはニコニコ動画のおかげなので、私はニコニコ動画で英検1級1次試験に通ったともいえる。

(E)まず、医学生としてmetabolism=代謝だと知っていたのは大きい。そして、ネズミとゾウで一生の心臓の鼓動の数はあまり変わらない、小さなトガリネズミは代謝が速く、ほぼ常に何か食べていないと死んでしまうなど、生物系の雑学が非常に役立った。

Part 3

(F)オモチャ④はヒーローのアクションフィギュアで、ボタンを押すと体のパーツが光り、子供に解剖学の知識を与えるのに役立つらしい。キモイ。

(H)寝袋を選ぶ男。一時期キャンプに凝っていて、ダウンと化学繊維どっちにしようかそれぞれの特性を比べて迷ったり、「暑すぎて夏困る」という問題を知ったりした。寝袋選びをしたことのある人間に有利な問題だった。

(I)この問題を間違えてしまった。厄介な雑草の駆除法の話で、正解は「手で抜く」だったらしいが、ミントやヨモギなど手で抜いても地下茎からまた生えてくる連中がいることを知っていたので、そんなん効果が無いだろうという先入観で解いてしまった。