英検1級受験記録② 一次通過
先日20の結果発表で、合格基準CSEスコアが2028点のところを2073点取れており、1次試験を通過していたことが判明した。
長文とリスニングに関しては良くできたが、語彙とライティング(英作文)に全く自信がなく不合格の可能性が否定しきれないといった感触だったため、Web合否発表前は大変緊張した。12時発表のものを13時と勘違いしており、「え、出てんの!?」と焦ったりもしたが、結果通っていたので万事よしである。7月17日の面接で資格取得の可否が決まるし、駄目でも一年間の1次試験免除が得られるから、面接には計4回チャンスがある。なんとかなりそうだ。
英検1級の1次試験はマークシート式の問題が68問あり、32点満点のライティング(英作文)と合わせて100点満点の点数が計算できる。合否判定には受験者の正解率なども考慮される2550点満点のCSEスコアに換算した数字が使われる。
私の点数は
リーディング29/41(CSE 668/850)
リスニング26/27(CSE 792/850)
ライティング20/32点(CSE 613/850)
計75/100 CSE 2073/2550 2028以上で通過
だった。
ギリギリの通過だ。CSEスコアは合格者平均点周辺は小刻みに素点と対応するが、平均から大きく外れると素点1点でスコアが数十点変動することが有る。私はリスニングが26/27でCSE 792/850だったが、仮にあと2問落とし24/27だったらCSE 734/850だ。このスコアだと私は不合格になる。本当に危なかった。
しかしなにせ英作文が酷い。20/32点は、合格者平均を割るのはもちろんのこと、落ちた人を含めた全受験者の中でも平均以下に位置する。Twitterで検索した限り、こんなに英作文で失点しているケースは確認できなかった。点数の内訳は、
内容 3/8
構成 6/8
語彙 5/8
文法 6/8
で、全体的に悪いが特に内容がメタメタである。英作文のお題は「遺伝子工学は人類の生活を良くするだろうか?」といったものだった。私の普段の考えは圧倒的にYESなのだが、受験日の近くに映画「ガタカ」を見ていたせいでNoで書きたくなってしまった。
https://www.google.com/search?q=%E3%82%AC%E3%82%BF%E3%82%AB
問題文の指示に、理由を3つ挙げて論じろとある。ふたつまではすぐに思いついたが、3つめがなかなか出てこず、ラスト5分くらいになってヤケクソでよく分からないことを書いてしまった。
①ある島で、伝染病を媒介する蚊を根絶するため、子孫が不妊になる遺伝子を組み込んだ蚊を放虫するという実験が行われた。結果、数世代で現地の蚊は遺伝子組み換え蚊を避けることを学習し、全く役に立たなかった。
②子供の遺伝子まで改変し始めると、「遺伝子科学者の子」が「神の子」より健康や知性で生まれつき優れることになる。これは社会に分断を生み、不幸になる人が出る。
③技術的なミスなどで注文と異なる子供が出来た場合、だれが責任を取り、生まれた子はどうするのか。
これらの理由を挙げ、生命が数億年かけて作った遺伝子の聖域を、数百年程度の人類の技術で侵すべきではないと結論付けた。③に関しては、②段落に統合できる話だ。こういう作文をするときには多面的な論述がキモだが、2/3をデザイナーベビーの話にしてしまい、例えば遺伝子組み換え食品やワクチンなどを度外視した内容になっている。デザイナーベビーの話題も「ガタカ」のように時間をかけて描くならまだしも、短文で表現すると優生思想的な臭いがしてくる。
さらに①に関しては、数年前に見たインターネット記事を元に書いたのだが、いくつかの情報に誤りがあった。また、「聖域」をsancturyと書いてしまったが、正しくはsanctu”a”ryである。目も当てられない。
そもそも後から考えてみると、「ガタカ」に引っ張られず、医学生としての知識を総動員して先天性疾患の遺伝子治療などを話題に出し、大賛成の方針で書けばよかったと思う。時間切れの焦りで、見切り発車と勢いで書き、振り返る暇が無かったことも事故原因の一端だろう。
英検1級英作文の参考書の冒頭解説には、作文にかけられる時間は大体25分と書いてあった。実際私は25分で書いたわけだが、参考書が言う25分とは「この本でしっかり演習し、テンプレートを身につけ、書き慣れた人間なら」25分で十分得点できるものが書けるという意味だったのだろう。冒頭解説だけ読んで投げた人間は旺文社の保証対象外だ。まあ、大きな傷を負いつつも通ったんだから結果オーライである。
リーディングでは、長文のミスは1問。他の11問は全て語彙問題での失点だ。語彙問題は、無理。英検1級が過剰に難関視されている責任は8割がたこの25問の語彙にあると思う。ネイティブでも知らない語が出るというのは本当らしいし、私が2択以下に絞れた問題は10問だけ。最初から語彙は諦め、長文とリスニングで稼ぐ戦法だった。
私がこの英検1級1次試験のために購入した参考書はこの三冊。
https://www.amazon.co.jp/dp/4010945745
https://www.amazon.co.jp/dp/4010948914
https://www.amazon.co.jp/dp/4010948515
勉強した時間は、全部で約4時間だ。公式サイトの過去問、「予想問題ドリル」の問題をそれぞれ一回分ずつ解き大体100分×2。英作文参考書の冒頭解説を読み10分。あとは「文単」の拾い読みを空き時間や受験会場での待ち時間でやっていて、計200と4、50分くらいだと思う。
こんな短い学習時間で、私もまさか一発で受かるとは思っていなかった。一次試験を通過できたのは、作曲家のすぎやまこういち氏や画家のホイッスラー氏の受け売りになるが、4時間と24年の成果だと思う。今回出題された問題のうち何問かは、私はもともと答えを知っていた。
どんな知識が役立ったかは、別ページでレビューをしていきたいと思う。興味がある方は、英検公式ホームページの2022年第一回試験問題を見ながら読んでいってほしい。問題を解きながら何度も、ああオタクで良かったと痛感したものだ。
さて、関所はひとつ超えたが、まだ英検1級を取れたわけではない。面接を通って初めて合格通知が届く。しかしまあ、1次試験に通ると1年間、1次試験を飛ばして面接から受けられる権利がもらえる。7月17日の直近の面接も入れて、4回チャンスがある。それだけあれば、まあ何とかなるだろうという気もする。
1次試験は4時間と24年で通ったことだし、面接に一度落ちてもまだ3回1次スキップで挑戦できるわけだから、一回くらい遊んでみたくなってきた。7月17日までの面接対策は最低限形式を把握する程度にして、特別な勉強はせず実力で行ってみようと思う。面接も、いや面接こそ難関であるという話も方々から聞こえてくるので多分落ちるが、心のどこかでギリギリ受かったりしないかな~とも期待している。
面接会場は少ないから、かなり広範囲からの1次試験通過者がドッと押し寄せることになる。今度はどんな人たちが見られるのか、今から楽しみだ。受けてきたらまたここで報告するので、よかったら立ち寄ってくださいな。
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