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Ч6.ホテル・チェルノブイリ

2022年6月23日

※タイトル「ホテル・チェルノブイリ」の意味的構造は「ホテル・カリフォルニア」ではなく、「ホテルカレー」とか「ホテル朝食」の方です。

 訳あって、1ヶ月ほど県外のホテル住まいをすることになった。ヨモギは10日の断水でかなり萎れてしまった前歴があるので、ひと月放置するのは気の毒だ。誰かに預けることも考えたが、チェルノブイリ達の成長に日々癒されている自分がいるので、是非ともそばに置いておきたい。

 ホテルに鉢を持って行く。そう決断するのに時間はあまり必要なかった。日本のヨモギは大きくなり過ぎたので人に預け、ニガヨモギとチェルノブイリを連れて行くことにした。1ヶ月もいるのだ。自分好みの環境を作る努力を惜しんでは、良い生活ができない。ホテル設備を破壊しない程度の持ち込みは許されるだろう。日当たりが良ければ窓際に置いておくだけで良いが、運が悪いと植物に暗い思いをさせることになる。日光灯も持ち込み必須だろう。そうなると、どこにどう光源を吊るすかが問題になってくる。

 当初は、パイプハンガーのようなものを組み立てて小さな栽培スペースを作ろうと考えていた。しかし実際チェックインしてみると、想定していたより自由にできる床面積が少なかった。窓の外は隣の壁で、日当たりは最悪と言って良い。これはプランBの突っ張り棒で上から日光灯を吊ってしまう作戦を決行するしかない。

 チェックインの翌日、近場のホームセンターで突っ張り棒を購入した。ついでに整理用のカラーボックスとねじ回しも買った。部屋に戻り、風呂場に突っ張り棒を渡して明かりを点け、植木鉢を下に置いた。なかなか良い眺めだし、壁の反射率が高いから光合成も捗りそうだ。


 なお、ホテルの部屋のコンセントは壁にルームキーを刺しておかないとブレーカーが落ち使えなくなってしまう。幸い骨髄バンクのドナーカードが同サイズだったので、身代わりになってもらうことにした。壁のルームキー入れにカードの識別機能は無いので、何かしら刺してあれば騙されてくれる。これで私がいない間も草に光を当て続けられる。

 この状態で1日暮らしてみたが、当然のことながらユニットバスのカーテンは閉まらず、頭の近くにライトと電源の接合部がぶらぶらしているので感電が非常に怖い。1ヶ月もこのまま入浴していると命が危ないので、浴室の外に出すことにした。

 なお、2日目も同じホームセンターに行くことになった。カラーボックスが明らかに足りないので買い足したのと、2つある植物灯のうち1つが電源ジャックが取れる破損を起こしたので修理するためのはんだごてを買うためだ。植物灯の破損は私が雑に扱ったからだけではなく、Amazonのレビューに買った時から部品が取れていたというものもあったため、そもそも脆い品物らしい。

 今日でホテル暮らし3日目だが、2日目以降はDo not disturbの札をかけて清掃をしないでもらっている。乱雑過ぎて申し訳ないからだ。3日でここまで散らかせるのは天賦の才だと思う。

 しかし、ある程度片付けても、部屋のドアを開けた瞬間の光景はこれである。掃除のおばさん達が驚く顔を想像すると、少しうきうきした気分にもなる。大麻と間違われて通報されたりしないといいが。いや、年配の方ならチェルノブイリがヨモギの仲間だと気づいてくれるかしら。

 ホテルの部屋で栽培したホテル・チェルノブイリ。なんだか美味しそうなキャッチフレーズだが、こいつの食べ方を私はまだ知らない。

2022年5月11日