G-14WZ0D01SX

新入り映写機 フジカスコープM25

 新しい8ミリ映写機を買った。ヤフオクで、送料を入れて3800円くらいだった。売られていた当時の値段を考えると安いものだ。

 今まで主に、2機の映写機にお世話になってきた。1機目はELMO SP-A。サイレント機で、切り替えレバーでダブル8(レギュラー8)とシングル/スーパー8両規格に対応し、ダイヤルで映写スピードを無段階に調節でき、コマ送りも可能な便利な機種だった。大学に入る前から愛用していたが、徐々にガタが来て半年ほど前からモーターの挙動が怪しくなり始めた。そして今年3月、映写中に異音の後ひどいフィルム詰まりを起こしてからは怖くて使えなくなった。

 ただSP-Aくんは最後に貴重な体験をさせてくれた。フィルムが詰まってオロオロしていると、ランプの熱でフィルムが焼け、映写されている先輩の顔が徐々に虫食い状に消えていく様子がはっきり観察できた。話に聞いたことはあるし、映画やデジタル動画編集のシーン切り替えエフェクトで見たこともあるが、実際フィルムの焼き切れを目にすることができたのは感動だった。フィルムがセルロイドだったら、アルフレードになっていたかと思うと少しぞっとするが。

右SP-A 左ST-180 両方エルモ製なのは偶然

 2機目のELMO-ST180はサウンドフィルムを映写するため、昨年9月メルカリで8000円くらいで買った。SP-Aくんが隠居してからはメインを張り、大学の先輩を交えての上映会など重要な場面を共に戦ってきたが、ランプ切れか映像が出なくなり、つい先日映写不可能となった。

 両方とも修理すればまだ使えるだろうが、残念ながらフリマサイト等で激安で売られている映写機を数台買っても修理代からお釣りが来るのが今の8ミリの世界だ。普及品なので中古市場への供給は多いが、40年前の技術に今更手を出すレトロ趣味者はそこまで多くない。

 また、若い出品者は動作確認の仕方もわからないケースが多いので、特にカメラなどは「よく分からないからジャンク扱い」で投げ売りされているものをよく見る。コレクター品などを除き、ヤフオクやメルカリで売っている8ミリ用品はほとんどが1万円以下で買えてしまうのが現状だ。

 壊れた品をつかまされるリスクを考えても、切れても構わないテストフィルムを用意してあるので、映写機ガチャを回す方が安く上がるし楽しい。ということでSP-AくんとST-180くんは私が修理代をポンと出せるようになるまでお休みとなった。

 で、彼らの後釜としてやって来たのがこのフジカスコープ M25くんである。ヤフオク出品者の説明では映写テストはしていないようだったが、主要部分の動作確認はされており8割がた大丈夫だろうということで落札した。

 佐川の配達員さんから箱を受け取ると、バランスを崩すほど軽い。開封してみると、先代の2機と比べて2回りほど小さかった。かわゆい。どうやらこのM25は、小型の簡易機種らしい。今まで映写機は手を痛めながらえっちらおっちら運ぶものだったが、これならちょっとしたお出かけに連れて行けるサイズだ。

高さの比較
厚みもだいぶ違う

 映写テストをしてみるが、しばらくは失敗続きだった。フィルムを入り口から送り込ませる時点で上手くいかなかったが、説明書を熟読し各所を調べてみるとスプロケット押さえの押し込みが甘かったと判明し、以降はスムーズに進んだ。先代2機では失敗が多かったフィルムのオート巻き取りも、今のところ100%成功している。サイレント機で、映像は申し分なく、作りが簡単なので故障しうる箇所も少なそうに見える。なかなか当たりを引いたかもしれない。

 ただし、文句のつけようもある。最大の弱点は映写中の逆再生(巻き戻し)が構造上不可能なことだ。小型化のためか、全てのモータが一方向にしか回らないように出来ている。フィルム送り側のモータは常に巻き戻し方向に回転しており、映写時はリールを空転させて順行力に負けるようにする事でフィルムを吐き出してゆく。映写中、軸の留め具はリールと逆向きに回転し続けるのが面白い。

 映写が終わった後は、送り側の空転を禁じれば巻き上げ側より強くなる。フィルムの末端を映写機内部から外して送りリールに戻すと、巻き上げリールから送りリールにスムーズに巻き戻すことができる。

 しかし、このようなギアチェンジと力関係のトリックは内部には仕込まれていない。映写機内部のフィルム送り機構は順行にしか動かないため、逆再生させることが原理上無理なのだ。途中で戻りたくても最後まで行ってから再上映するか、フィルムを取り外して巻き戻し、最初から映写するしかない。後者はフィルムを痛めそうなので余りやりたくない。

8ミリで写した実家の柱時計

 他にはレンズが別売りで映写時の画面サイズが固定だとか、ピント調節が割とシビアだとか映写スピードが変えられないとか、足が歪んでいて少し傾くとかの欠点もあるが、逆再生不能に比べたら些細なことだ。これらを総合しても、自動巻きの成功率が高く小型軽量というアドバンテージは大きい。若くても40歳、いつお亡くなりになるか分からないのが8ミリ機材だが、長く付き合っていけたらなと思う。でも高機能機種も欲しいかな、来月また買おうかな、なんて。

2022年5月5日