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Ч3. 日本のヨモギ

2022年4月16日

届いたばかりのヨモギの苗

 チェルノブイリらを注文すると同時に、Amazonで日本のヨモギの苗も購入していた。こちらはすぐに届き(2月22日注文、25日着)、既に1ヶ月半ほど栽培している。

 チェルノブイリ原発事故黙示録予言説についての疑問解消のためだけなら、日本のヨモギは特に必要ない。しかしこの実験を通じて得られた知見を人に伝える時、特に年配の方相手には、日本のヨモギとの比較を話題にするとより興味を惹けると思った。

 欧州ではチェルノブイリがそうであるように、日本ではヨモギは全く珍しくない雑草であるらしい。「らしい」というのは、私がヨモギを育て始めてからコロナのせいでろくに外出しておらず、まだ野生の個体を見ていないからだ。実物を観察する以前は他の雑草とヨモギの区別がつけられなかったし、興味もなかったので、ヨモギの普遍性がどの程度かよく分からない。

 ただのヨモギならその辺で摘んで来ればいいものを、わざわざお金を出して苗を買ったのも同じ理由だ。草むらの中から確実にこれはヨモギだと言える自信が無く、間違って他の植物を採集していたら目も当てられない。あとなんか、その辺の草は動物やヒトの尿がかかっていそうでばっちい気もする。洗えばいいと思うよ、と言う声は聞こえないことにする。エヴァンゲリオンは未履修だし。

 1959年生まれの母は、「よもぎ餅作るからヨモギ摘んできて」というイベントがたまに発生したと教えてくれた。私達若い世代では、特に植物に興味があったりしなければヨモギを強く意識することは無いかもしれない。しかし親、祖父母世代なら、もっとヨモギに親しみを持っているだろう。チェルノブイリやニガヨモギの話をすれば、日本のヨモギとの違いも気になるのでは無いかと思う。

 私が理科に興味を持ったのは、「NHKジュニアスペシャル」という番組の影響が大きい。医学や工学、考古学、生物学の知識をやさしい語り口と印象的なCGや実演で教えてくれる番組だった。カンブリア爆発の回と魚が川に進出して上陸した回、免疫の回は特に好きで、暗記するまで録画を観た。幼稚園の先生相手にプテラスピスの腎臓について講釈を垂れていたのをよく覚えている。

 その番組の中に、「やったべぇのくらべてくらチョ」というコーナーがあった。マジシャンのような格好のやったべぇというおじさんが色々なものを比較して見せてくれ、それを通じて物事の多様性や合理性を学べるというものだった。うろ覚えだが、「比べてみると、アレっと思う。比べてみると、発見がある。」というのがキャッチフレーズだった。本当にその通りだと思う。日本のヨモギも育ててみたくなったのも、たぶんやったべぇのせいだ。なおヨモギの学名は何だかややこしくて素人の私にはどれが正しいのかよく分からない。

 それにつけてもヨモギの成長は早い。気持ち悪いくらい伸びる。初期はこのように、ロフトベッドの天井から小さい植物用ライトを吊り、棚で高さを稼ぎ鉢植えを近づけて光合成をさせていた。

 パワーが心許なかったので24時間連続点灯しており、光の色が赤紫なので夜は何だか怪しい雰囲気だった。おかげでヨモギの伸びは良かったが、私の方は妙なムードの中で顔に枕を乗っけて眠ることになった。

変な夢を見そうだ。

 5日間テント生活チャレンジを完遂して120時間ぶりに鉢を見ると、草丈がライトに接触するほど伸びていた。慌ててライトの高さを上げたが、それもすぐに追いつかれてしまいそうだった。帰省で10日ほど部屋を開けた時はさすがに水不足で気の毒な状態にしてしまったが、完全に萎れた葉や茎をむしってたっぷり水やりをすると、数日で嘘のように元気になった。なんとたくましいことか。

やってしまった!と思ったが、今は嘘のように元気だ。

 思えばAmazonから届いた時、添付されていた紙にこんなことが書かれていた。

・とても丈夫な植物です。植える時期や場所は特に選びません。

・殖える植物ですので、栽培される場合は、プランター栽培をお勧めします。

・水は乾いたらば与える程度で十分です。

・肥料は特に必要ありません。入れたい場合は堆肥で十分です。

 どうやら完全に枯らす方が難しいくらいの勢いらしい。他人の庭に勝手に種子などを撒く嫌がらせとして、ミントテロというのは良く聞く。地下茎で猛烈に殖えるうえに、地上部を刈り取っても地下茎から復活するので根絶が難しいらしい。ヨモギも地下茎を形成するのでテロ向きなのだろうか?庭に植えてはいけないとは各所で見るが、嫌がらせに使う例は知らない。ミントほどの爆発力は無いのだろうか?

 後輩たち(チェルノブイリとニガヨモギ)がやってくるので、棚の天板の面積が足りなくなる。日本のヨモギの草丈も限界だ。ということで棚は苦労してベッドと壁の間に押し込み、植物ライトを強力なものに変え、床置きで栽培することにした。24時間連続点灯はしばらくそのままにしていたが、電気を消してもばっちり明るい不夜城状態はさすがに寝苦しく、諦めてタイマーを使うことにした。

完全室内栽培にしているのは丈夫な外来種を日本の野に放たないためだが、なんというかこの栽培スタイル、大麻みがある。警察の人に部屋を見られたら、取調室に連れていかれそうだ。

手前の大きな鉢はハーブのディル。得意料理のボルシチに使う。

届いた時には10cmも無かった苗が、一か月半なんとなく水をやっていただけで50cmを超えてしまった。ほんとうにズボラな私向きの草だ。ひとに「これ育ててるんだ」と写真を見せると「草じゃん!!」と突っ込みが入るが、それもまた一興。薬草を育てるメリットは、収穫という名目で成長をコントロールできることかなと思ったりもした。大きくなり過ぎたら収穫してヨモギ風呂でもやろうかなとか、夢が広がるじゃないか。

2022月4月10日